鼻から吸って口からこぼす

おや、いらっしゃい。なにかお探しで? その我楽多ね、画面に不定期になにか出てくるんですよ。ぷろぐらむとかいうやつですかね。なんの役にも立ちやしないのに。物好きですねぇアナタ。はあ、左様ですか。なんですかねえ、決められたことだけしていれば楽に生きていけるのにねえ。そう思いません? あらそう。アナタみたいな人を物好きって言うんですよ。つける薬もありゃしねぇや。

枇杷

 散歩コースに大きな枇杷の木がある。二階建ての家とほぼ同じ高さで、小さい実が鈴なりになっている。

 私は琵琶が大好物だが、けっこうな高級フルーツなので、いいなあと口を開けてその横を通る。道に面した木で、手が届くところにも実はなっており、泥棒したい誘惑に駆られはするが、そんな度胸はない。

 いつもより早い時間にそこを通った。枇杷の木のすぐ横にそのお宅の窓があるのだが、暗い時分には分からなかったが、お面が外に向かって設置されている。ひええ、防犯対策だろうか。

 戻る道筋、そこを通ると鳥の羽ばたきとともに私の鼻先に琵琶の実が落ちてきた。このあたりはお屋敷が多く、木も多く、よって鳥も多い。本来の目的である、種子を遠くに運んでもらって子孫を残すってのが機能通り行われているんだな、だとしたらこのたくさんの実も無駄じゃないと思った。

 ちなみに枇杷はけっこう発芽率がよく、そこそこ育つ。ベランダで植木鉢で育てていたら大きくなりすぎてしまったので、実家に送って植えさせてもらった。あの木に実がなったらなあ……。