鳴り響く音が日常を破る
相変わらず地下鉄が混んでいる。7割減はどこに、などと思いつつ今日も電車に揺られていた。
それでもコロナ以前と比べればずいぶんマシで、ほとんどの人が吊り革を確保できる程度の混み具合だ。
駅から会社までの道を歩いていたとき、緊急地震速報があたりに響き渡った。音の源はすまほである。いったい、あたりにいた人はどれくらいだっただろうか。世界中でその音が鳴っているようだった。けれどいつまでたっても揺れはやってこないのだった。
ニュースサイトに接続できないまま会社に着くと、皆が口を揃えて大して揺れていないという。まあ結果的によかったのだ。何事もなくて。
ほとんどの人が、すぐに何事もなかったかのように歩き出す中、私はどこに逃げたら一番安全かを考えながら職場まで歩いた。
高層ビルのすぐ側は歩かない。橋の上にいたらダッシュで地面があるところまで駆ける。私は世界中の人が倒れても生きていたいと思う。できるならそんな目には遭わずに一生を終えたいものだが。