2020年良かった本
一年の振り返りでもしてみようと思い立ち、読書記録を眺めてみたが、今年はやたら漫画ばかり読んでいた。漫画はとりとめがなさすぎて順位が付けられないので、文芸作品を挙げてみようと思う。今年出版された新作があまり入っていないが、読んだのは今年なので。
まずは日本文学部門。
言わずと知れた直木賞受賞作。ずっと読もうと思っていてようやく今年読めた。構成がすごい、読後感が良い、愛すべき登場人物たち。もっと早く読みたかった気もするが、とにかく出会えてよかったと心から思える本。
・辻村美月「かがみの孤城」
これも構成がいいなと感心したのと、読後感のさわやかさ。読み終えた後「はー、よかった」と本を閉じられるのが理想なのだが甘いだろうか。登場人物がとても現代っぽい。学校が楽しくない子どもたちにぜひ読んでほしい。
・雪乃紗衣「エンド オブ スカイ」
ある意味でディストピア小説だが、これもさわやかなラストシーン。登場人物の生々しさやユーモアはこの作家さんの真骨頂。
ビジネス書も少しは読んだが、あまりこれといったものがなかったのであげていない。
続いて海外文学部門。
・マーガレット・アトウッド「獄中シェイクスピア」
語りなおしシェイクスピアというシリーズものらしい。「テンペスト」はシェイクスピア作品の中で一番好きだが、そのテンペストの現代版としての本筋が進みながら、本編中でテンペストを上演するという入れ子構造。これが痛快で面白い。
同じくアトウッドの代表作、「侍女の物語」の続編。3人の女たちの視点で物語は語られ、思いもよらない交わり方をする。前作を知らなくても読める。
・ナオミ・ノヴィク「ドラゴンの塔」
ちょっとませたファンタジー好きの日本のオタク女子には受けるんじゃないだろうか。主人公とお師匠の師弟関係もだが、親友との友情も激アツ。ラブシーンが思いのほか濃厚なので、子供に読ませるときはちょっと注意。
こんなところだろうか。ちなみに今読んでいるのは源氏物語と白石一文「君がいないと小説は書けない」。昨日は日向夏「薬屋のひとりごと」を読んだ。来年もラノベやら古典やら雑食で行きます。良い本に出会えますように。