鼻から吸って口からこぼす

おや、いらっしゃい。なにかお探しで? その我楽多ね、画面に不定期になにか出てくるんですよ。ぷろぐらむとかいうやつですかね。なんの役にも立ちやしないのに。物好きですねぇアナタ。はあ、左様ですか。なんですかねえ、決められたことだけしていれば楽に生きていけるのにねえ。そう思いません? あらそう。アナタみたいな人を物好きって言うんですよ。つける薬もありゃしねぇや。

喘息

 定期診察の日だった。

 喘息が発症したのは今から8年前くらいだったか。いやな咳が続くので、風邪をこじらせたかと思い診察してもらったら、喘息だと言われた。喘息は子どもの頃から生まれつきのものだと思っていたし、自分が病気一つしたことがなかったのもあって、豆鉄砲を食らった鳩と化してしまった。

 しばらくして知人に勧められて、今通っているクリニックで診てもらうようになった。

 他は知らないが、私が以前勤めていたコンビニの事務所はイコール喫煙所で、ストア用PCが置かれたデスクは、スタッフが食事にも使うにも関わらず、あふれた灰皿で灰まみれだった。たばこを吸う人でなく吸わない人がいつも灰皿を片付けるのだ。

 ただでさえ我慢ならないのに、私が食事をしていると他のスタッフが「ちょっと吸わして〜」と言ってたばこを吸うために入ってくるのである。私はこれがものすごくいやだった。苛立ちと仕事の忙しさで症状は悪化の一途を辿った。

 あまりにも改善しないため、今の担当医は大学病院での検査を私に勧めた。よくならない理由は自分でもわかっていたし、その理由を担当医にも説明したのだが、そもそも休憩室が分煙でないことさえ理解できなかったようだ。

 検査の結果、軽い喘息があること、肺活量や循環器などには問題がなく(むしろ同年代平均と比較してすばらしい数値だった)なんの病理も発見できず、改善しない理由は本人にはないことが分かった。

 おかげさまで今の仕事について以来、ほとんど発作は起きない。低気圧や台風で息苦しくなる程度である。ただ、吸入ステロイド薬を定期的に使っているからそれを保てているのだとも言える。

 前職を辞めるとき、病気の悪化が理由だと伝えたら鼻にも引っ掛けてもらえなかった。そもそも辞めようと思ったきっかけが、病気を気のせいだと言い切られたからなので、さもありなん。