鼻から吸って口からこぼす

おや、いらっしゃい。なにかお探しで? その我楽多ね、画面に不定期になにか出てくるんですよ。ぷろぐらむとかいうやつですかね。なんの役にも立ちやしないのに。物好きですねぇアナタ。はあ、左様ですか。なんですかねえ、決められたことだけしていれば楽に生きていけるのにねえ。そう思いません? あらそう。アナタみたいな人を物好きって言うんですよ。つける薬もありゃしねぇや。

降り続く雨に記憶の扉が開く

 2000年の東海豪雨をふと思い出した。

 専門学校の同級生が帰ろうという私をよそに「遊びに行こうぜ!」と言ったばかりに、ほんの一時間前まで動いていた電車は止まり、名古屋駅の中は座り込む人々が溢れかえった。マクドナルドもベーカリーも閉店時間を過ぎても閉められず、携帯会社はさっさと電波を止めてくれやがったので、大行列の公衆電話に並び、自宅に無事を伝えた。車で迎えに来た、友人のご両親のご好意で泊めていただけたのは幸運だった。そんな夜が明け、帰ろうとしたら土砂崩れで電車が動かない。復旧まで数日かかるというので、学校も二、三日くらい休講だった。

 友達同士のグループで行動していたために、危機感のかけらもなく、遠足にでも来たような気持ちで歌まで歌っていたが、今考えるとかなり恐ろしい事態だったのだ。

 そんな災害が毎年来るようになってしまった。危機と隣り合わせが続くと気持ちが緩む。いつでも迅速に行動できるよう、備えは万全に、けれど普段は何もかも忘れて口を半開き、くらいで過ごそうと思う。