鼻から吸って口からこぼす

おや、いらっしゃい。なにかお探しで? その我楽多ね、画面に不定期になにか出てくるんですよ。ぷろぐらむとかいうやつですかね。なんの役にも立ちやしないのに。物好きですねぇアナタ。はあ、左様ですか。なんですかねえ、決められたことだけしていれば楽に生きていけるのにねえ。そう思いません? あらそう。アナタみたいな人を物好きって言うんですよ。つける薬もありゃしねぇや。

日常に潜む罠

 うっかり研修中レジに並んでしまった。とは言っても、別に殊更避けているわけではない。急いでいる時にはそもそも買い物をしないし、今日も、研修中って書いてあるの並んでから気づいちゃった、くらいの気持ちだった。

 もとプロ小売販売としては頑張れ!と思いつつ初々しい様子を見守るわけだが、彼が3分の1カット大根をカット大根として手打ちしたのを見つけてしまった。

 そのスーパーでは「3分の1カット大根」2分の1サイズの「カット大根」フルサイズの「大根」つまり計3種類が存在する。彼は研修中ゆえ、その罠にかかってしまったのだ。

 私はぼそぼそと「大根の値段が違うようです…」と告げた。研修くんはハッとしたが慌てた様子はなく、「失礼しました」とさわやかに告げ、入力を取り消して打ち直してくれた。こやつ、できる。

 今回の彼のミス(上から目線ですいません)は、バーコードの有無を確かめなかったのが原因だが、その後のフォローは完璧だった。彼はきっと良い店員になると思う。

 ちなみに私が一番嫌だったのは、氷結というチューハイのレモンとグレープフルーツを、値段が同じだからいいだろと言わんばかりに、かごの中でシャッフルして持ってきやがるお客様である。この2商品、缶の配色が全く同じで、正面を見ないと判別がつかないのだ。在庫数がズレて店長に怒られるのは私だかんな、一個一個スキャンするけど、遅いって文句垂れるなよバーローっていつも心で叫んでた。