鼻から吸って口からこぼす

おや、いらっしゃい。なにかお探しで? その我楽多ね、画面に不定期になにか出てくるんですよ。ぷろぐらむとかいうやつですかね。なんの役にも立ちやしないのに。物好きですねぇアナタ。はあ、左様ですか。なんですかねえ、決められたことだけしていれば楽に生きていけるのにねえ。そう思いません? あらそう。アナタみたいな人を物好きって言うんですよ。つける薬もありゃしねぇや。

猫(1)

 猫は暑いのか苦手なはずだが、今日はやけに行き当たった。白いのと黒いのと、茶白と計3匹。

 猫といえば近所の寿司屋で飼われていたのを思い出す。バイクのシートに香箱座りをして、電車が行き過ぎるのを眺めている老猫だった。歳をとって痩せているが、おそらく餌のおかげでだろう、つややかな毛をしていた。

 ある日のこと、勝手口から出てきた店主が猫にハムを与え、すぐに仕事に戻っていった。猫は前足で押さえながら食べていたが、途中でハムが滑り落ちてしまった。シートの隙間に入ってしまい、懸命に前足を伸ばすが届かない。見かねた私がハムを拾い上げ、口元に持っていってやったのだが、怒りもせずじっと待っているのである。取られるなどとは微塵も思っていないそぶりだった。【続く】