感想「果てしなき輝きの果てに」
外国文学好きの友人に最近のおすすめを聞いて読み始めたリズ・ムーア著「果てしなき輝きの果てに」。昨日ようやく読み終えた。
暗い悲しみのつきまとう物語だが、結末に光が差したのは良かった。とはいえ、大切なものをなくしてもいるのだが。
主人公ミカエラが保護者である祖母ジーに進学のための書類記入を断られるシーンが頭から離れない。ホワイトカラーや教育について、ジーはひとまとめに胡散臭いと一蹴するのだ。進学の書類は、優秀なミカエラが無償で大学へ行くためのもの。ジーは自分の腹が痛むわけでもないのにサインを拒否し、いろいろあってミカエラは進学を断念し警官となる。貧困の連鎖の一端を見た気がして、とても苦かった。
ミステリーとして秀逸なのはもちろん、家族愛やシングルマザーあるあるなど、さまざまな要素を含んでいて、しかもそれぞれに決着がつく。10年くらい前に、同じようにジャンルでくくれないとても面白い物語を読んだのだが、その頃はまだ読書記録をつけていないせいでタイトルを思い出せないのがもどかしい。