魚の骨

　家人は骨つきの魚を面倒くさがる。もしも熊に生まれていたら、頭からボリボリいけたのかなあなどと言う。

　私はきれいには食べられないが、海沿い育ちで魚を食べ慣れているので、なんとなく魚の構造がわかる。まあ、面倒だなあと思わないでもないが、肉よりも魚派なのでつい買ってきては食卓に出し、文句を言われるということを繰り返している。

　じゃあ缶詰ならどうだ。骨まで食べられるから除く必要もあるまいと言って出したら、食べられるかどうかは別として骨であるならば取り除きたいと言って炊き込みご飯の中の骨を探していた。それはもう自分で面倒くさくしているだけなのではなかろうか。

　骨がない魚があったらいいのにと家人は言う。それはもう遺伝子組み換えの世界だなあ。もしくは大きい魚の切り身で売っているものだけ食べるかだ。マグロやホキは美味しいけれど、やはり味や鯖ならではの旨味は捨てがたい。文句は聞き流しておくことにする。作らない人に選択権はないのだ。