どこまでも
毎晩たかが1時間程度の散歩だが、知らない道を歩くのは楽しい。
住宅街の中に団地があって、外から見るとわからないけれど中庭が見える方へ回り込むと、常夜灯が規則正しく欠けることなく点っていて、眩しいほど。道に迷ったときにこんなところへ出たら、ほっとするだろうな。
くねくねとした路地をずっと一人で歩いていると、落ちこぼれの魔物になった気持ちになる。どこかの家をあの手この手で開けさせて中に入り、引っかき回すのが仕事なのに、どの家も扉を固く閉ざしていて取り付く島もない。そんなことをニヤニヤ考えているものだから、腕を大きく振ってウェア姿で歩くご婦人にみるみる引き離されていく。
隣の町まで歩いて行けることをこの年になってから知った。意外と自分の足で歩けるものだ。ただ、できたら早く座りたい。でもって甘いものも欲しい。