映画「聲の形」
「聲の形」を地上波放送で観た。原作をマガジン連載時に読んでいたので、演出とかどこまでやるのかとか、いろいろどうするんだろうと思っていたけれど、杞憂を通り越して素晴らしい仕上がりだった。
映画に限らず、いい作品は色々な読み方ができる。原作はいじめとその贖罪の物語という印象が強かったけれど、映画では石田くんと西宮さんの恋にスポットが当たっているように感じた。冒頭の「西宮さん、泣かないで」の切ない響きといったらもう。
原作は七巻もあるのだけれど、いいとこ取りをして中弛みなくまとまっていた。手話のところに字幕を入れるのかなと思っていたら、話しながら手話を使うという演出。全部そうするわけではなくて、ぎりぎり意味がわかるくらいのちょうどいい情報量。
また絵が儚いきれいさではなく、しっかりとした輪郭線を持って描かれているのが、とても作品に合っていてよかった。さすが京アニ。
現代を舞台にした作品だけど、実写じゃなくてアニメだからこの感じが作れるんだと思う。アニメだからこそ描けるリアルもあると改めて感じた。