さいせい
推敲もろくにできていない文章を、送信ボタンに乗せて送りつける。
ここ数年、何回もやってしまっていることだ。公募の締め切り前はとにかくいらいらするし、生活も荒れるし、いいことなんか全然ないのだけれど、毎回出し終わった後のひとときだけは満足感に浸れる。寝て起きて、ゆるめな生活を取り戻した後、出した原稿を見返してああすればよかったと落ち込むこともセットなのだけれど。
一番最初に書いたものがたりは自分が主人公だった。いままで読んだものがたりの素敵なシーンを切り貼りした不恰好なものがたり。
読んでいるときも書いているときも自分ではない誰かの人生を生きている。だから私は地に足がついていないのかもしれない。息をするように読み、ことあるごとに書いているから。
私はふと自分自身のものがたりがないことに気づく。何のために生きてるんだっけ。分からなくてまた読んで書いて、その結果なにも残せないかもしれないけど、私にはほかにやりたいことがないことだけは、最近わかった。